| ■ 活字部門では、4点が奨励賞に選ばれました。まず、共同通信の石山永一郎編集委員によるケビン・メア米国務省前日本部長の発言報道が評価されました。前日本部長の発言とは、沖縄について「(日本政府に対する)ごまかしとゆすりの名人」「怠惰でゴーヤーも栽培できない」などと米学生に語ったとされるもので、大きな反響を巻き起こしました。選考委では「見事なスクープ」「沖縄問題を多くの人に考えさせるきっかけとなった」との声が上がりました。
向井嘉之、森岡斗志尚両氏の「イタイイタイ病報道史 公害ジャーナリズムの原点」は富山県の神通川流域に発生した鉱毒被害、イタイイタイ病に関する100年以上に及ぶ報道史を検証したものです。選考委では「公害とは何かと問うと同時に、メディアとは何かという根本的な課題にも鋭く迫る労作」「県内外の図書館に保存されている7000件ものイタイイタイ病に関する記事を集め、検証した努力に敬服する」とされました。
琉球新報取材班の連載「ひずみの構造――基地と沖縄経済」については「沖縄経済の実態を解明した力作」「米軍基地の存在はいまや経済発展の阻害要因となっていることを明らかにした点を評価したい」「沖縄問題と原発立地の構図は国への依存構造をつくる点で似ているという指摘に注目したい」との賛辞が寄せられました。
当基金は、優れた作品ばかりでなく優れた活動も顕彰の対象としてきました。今回は、大石光伸・常総生活協同組合副理事長の活動に奨励賞を贈ることにしました。
生協はいまやスーパーと同様の小売業と化したとの指摘がなされています。その中にあって、常総生協は組合員7000人という茨城県の小さな生協ですが、独特の活動で注目を浴びています。組合員主体の運動と共同購入中心との事業を展開するなど、他の生協にはみられない活動を進めています。福島第1原発の事故後は、放射能汚染を測定したり、東海第2原発廃炉の住民訴訟を起こすなど、脱原発の運動を始めました。そこでリーダーシップを発揮しているのが大石氏です。
そのほか、河勝重美編の「ヒロシマ 原爆地獄」(ヒロシマ「原爆地獄」を世界に弘める会)、山口隆氏の「他者の特攻」(社会評論社)、米田綱路氏の「ジャーナリスト考」(凱風社)、大石又七氏の「矛盾 ビキニ事件、平和運動の原点」(武蔵野書房)が最終選考まで残りました。
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