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第17回基金賞を5人と6団体に贈呈しました

  平和・協同ジャーナリスト基金は第17回平和・協同ジャーナリスト基金賞の贈呈式2011年12月10日(土)、東京・新宿区の日本青年館で行いました。
受賞者の皆さん、その友人、基金会員、報道・出版関係者ら約50人が参加しました。

 贈呈式は2部制で行われました。第1部では、司会の丸浜江里子・運営委員の開会あいさつにつづき、岩垂弘・代表運営委員が第17回基金賞(1点)、同奨励賞(5点)、審査員特別賞(2点)を発表、選考経過を報告しました。

 次いで審査員の鎌倉悦男さん(プロデューサー・ディレクター)が映像部門の講評を行い、代表委員でジャーナリスト・元TBSキャスターの田畑光永さんが、受賞者・団体に賞状、賞金、記念品(彫刻家松井鮎子さんのデザインによるブロンズを木版にはめ込んだ楯)を手渡し、祝辞を述べました。

 第17回基金賞の受賞者と受賞作品は次の通りです。

◆基金賞=大賞 (1点)

 報道写真家・樋口健二さんの写真集「原発崩壊」(合同出版)

◆奨励賞 (5点)

石山永一郎・共同通信編集委員の「ケビン・メア米国務省前日本部長の沖縄に関する発言報道」

長崎放送製作の「封印された核~元兵士が語る在日米軍の真実~」

ジャーナリスト・向井嘉之、翻訳家・森岡斗志尚さん(富山市)の「イタイイタイ病報道史 公害ジャーナリズムの原点」(桂書房)    

琉球新報取材班の連載「ひずみの構造――基地と沖縄経済」

大石光伸・常総生活協同組合副理事長(茨城県)の活動

◆審査員特別賞 (2点)

石田優子監督作品「はだしのゲンが見たヒロシマ」(製作シグロ、トモコーポレーション)

テレビ朝日、東京サウンドプロダクション製作の「誰も知らない『玉音放送』~“日本のいちばん長い日”の真実~」

 贈呈式には樋口さん、石山さん、長崎放送報道部の関口達夫さん、向井さん、琉球新報取材班の島洋子さん(政治部県政キャップ)、大石さん、シグロの石田監督、テレビ朝日チーフプロデューサーの原一郎さんらが出席されました。

 次いで、受賞者の皆さんからスピーチがありました。大賞を受賞した樋口さんは「売れない写真家でした。こんな華々しい席に立っていること自体不思議だ。光栄ある賞をいただいて緊張している。原発の下請け労働者の被曝を38年間追いかけてきた。それが認められてうれしい」と述べ、贈呈式参加者に深い感銘を与えました。

 他の皆さんも「大変光栄ある賞をいただき、ありがたい」「志ある賞をいただき、感激している」「これを機に一層頑張りたい」「この賞はこれからの取材で大きな武器となる」などと述べました。

 第2部は祝賀パーティーで、石渡博明・運営委員が司会を務め、基金会員で元共同通信論説委員の伊藤力司さんの発声で祝杯をあげた後、贈呈式参加者が歓談しました。席上、第1回基金賞受賞者の豊崎博光さん(フォトジャーナリスト)、第6回奨励賞を受賞された鶴文乃さん(フリーライター)のあいさつさがありました。

<記念撮影>

前列右から琉球新報取材班・島洋子さん、ジャーナリスト・向井嘉之さん、シグロ映画監督・石田優子さん、報道写真家・樋口健二さん、共同通信編集委員・石山永一郎さん、常総生協副理事長・大石光伸さん、テレビ朝日チーフプロデューサー・原一郎さん。後列右から東京サウンドプロダクションプロデューサー・石原正礼さん、PCJF賞審査員・山谷哲夫さん、東京サウンドプロダクションプロデューサー・田中政文さん、同ディレクター・島岳志さん、長崎放送報道部・関口達夫さん、PCJF賞審査員・鎌倉悦男さん、田畑光永・PCJF代表委員、岩垂弘・PCJF代表運営委員

基金賞参考書

◆基金賞=大賞 (1点)

報道写真家・樋口健二さん

報道写真家・樋口健二氏の写真集「原発崩壊」(合同出版)
樋口健二

◆奨励賞 (5点)

共同通信社編集委員
・石山永一郎さん

★石山永一郎・共同通信編集委員の「ケビン・メア米国務省前日本部長の沖縄に関する  発言報道」

石山永一郎

長崎放送報道部・関口達夫さん

★長崎放送製作の「封印された核~元兵士が語る在日米軍の真実~」
関口達夫

ジャーナリスト・向井嘉之さん

★ジャーナリスト・向井嘉之、翻訳家・森岡斗志尚両氏(富山市)の「イタイイタイ病  報道史公害ジャーナリズムの原点」(桂書房)   
向井嘉之

琉球新報取材班
・島洋子さん 

★琉球新報取材班の連載「ひずみの構造――基地と沖縄経済」
島洋子

常総生協副理事長
・大石光伸さん 

★大石光伸・常総生活協同組合副理事長(茨城県)の活動
大石光伸

◆審査員特別賞 (2点)

シグロ映画監督
・石田優子さん 

★石田優子監督作品「はだしのゲンが見たヒロシマ」(製作シグロ、トモコーポレーション)
石田優子

テレビ朝日チーフプロデューサー・原一郎さん

★テレビ朝日、東京サウンドプロダクション製作の「誰も知らない『玉音放送』~“日本のいちばん長い日”の真実~」
原一郎


選考には、鎌倉悦男(プロデューサー・ディレクター)、高原孝生(明治学院大学教授)、、前田哲男(ジャーナリスト)、森田邦彦(翻訳家)、山谷哲夫(ドキュメンタリー監督)、由井晶子(元沖縄タイムス編集局長)の6氏があたりました。候補作品は52点(うち映像関係は14点)でしたが、審査の結果、8点が入賞となりました。


■ 大賞にあたる基金賞には、樋口健二氏の写真集「原発崩壊」が全員一致で選ばれました。  

2011年は、東日本大震災とそれによって引き起こされた東電福島第1原発の事故によって日本史上ではもちろん、世界史上でも画期的な年となりました。このため、大震災と原発事故に関する作品が多く寄せられましたが、読者に与えるインパクトという点では樋口氏の写真集が群を抜いていました。この写真集は原発で働く労働者を約40年にわたってカメラで追跡してきた取材活動の集大成ともいえるもので、原発が人間と環境にもたらす恐るべき危険性を黙々と、だが鋭く訴えています。選考委では「原発問題の核心に迫る渾身の記録」「とかく無視されがちな原発下請け労働者の被曝に目を注ぎ続けてきたことを評価したい」「とりわけ、原発内部の労働を撮った写真は例がない」といった絶賛の声が相次ぎました。

本書は32年前に刊行されましたが、東電福島第1原発の事故を受けて最新の写真も加えて再刊されたものです。

■ 活字部門では、4点が奨励賞に選ばれました。まず、共同通信の石山永一郎編集委員によるケビン・メア米国務省前日本部長の発言報道が評価されました。前日本部長の発言とは、沖縄について「(日本政府に対する)ごまかしとゆすりの名人」「怠惰でゴーヤーも栽培できない」などと米学生に語ったとされるもので、大きな反響を巻き起こしました。選考委では「見事なスクープ」「沖縄問題を多くの人に考えさせるきっかけとなった」との声が上がりました。

向井嘉之、森岡斗志尚両氏の「イタイイタイ病報道史 公害ジャーナリズムの原点」は富山県の神通川流域に発生した鉱毒被害、イタイイタイ病に関する100年以上に及ぶ報道史を検証したものです。選考委では「公害とは何かと問うと同時に、メディアとは何かという根本的な課題にも鋭く迫る労作」「県内外の図書館に保存されている7000件ものイタイイタイ病に関する記事を集め、検証した努力に敬服する」とされました。

琉球新報取材班の連載「ひずみの構造――基地と沖縄経済」については「沖縄経済の実態を解明した力作」「米軍基地の存在はいまや経済発展の阻害要因となっていることを明らかにした点を評価したい」「沖縄問題と原発立地の構図は国への依存構造をつくる点で似ているという指摘に注目したい」との賛辞が寄せられました。

当基金は、優れた作品ばかりでなく優れた活動も顕彰の対象としてきました。今回は、大石光伸・常総生活協同組合副理事長の活動に奨励賞を贈ることにしました。

生協はいまやスーパーと同様の小売業と化したとの指摘がなされています。その中にあって、常総生協は組合員7000人という茨城県の小さな生協ですが、独特の活動で注目を浴びています。組合員主体の運動と共同購入中心との事業を展開するなど、他の生協にはみられない活動を進めています。福島第1原発の事故後は、放射能汚染を測定したり、東海第2原発廃炉の住民訴訟を起こすなど、脱原発の運動を始めました。そこでリーダーシップを発揮しているのが大石氏です。

そのほか、河勝重美編の「ヒロシマ 原爆地獄」(ヒロシマ「原爆地獄」を世界に弘める会)、山口隆氏の「他者の特攻」(社会評論社)、米田綱路氏の「ジャーナリスト考」(凱風社)、大石又七氏の「矛盾 ビキニ事件、平和運動の原点」(武蔵野書房)が最終選考まで残りました。

■ 映像部門では基金賞の該当作はありませんでしたが、奨励賞に1点、審査員特別賞に2点が選ばれました。

奨励賞に選ばれた長崎放送製作の「封印された核~元兵士が語る在日米軍の真実~」については「沖縄返還時、日米間では核密約はなかったと言明し続ける日本政府だが、このドキュメンタリーは、在日米軍基地で核兵器使用訓練を受けた当時の兵士や米軍資料を3年がかりで捜し出し、その疑惑を解明した。その執拗な取材姿勢は、今日の映画・テレビ界の中では特筆されるべきだ」とされました。

審査員特別賞となった「はだしのゲンが見たヒロシマ」(シグロ、トモコーポレーション製作)については「広島原爆で多くの家族を失った漫画家中沢啓治が、戦争を行ってきた者、これからら行おうとしている者たちに激烈な怒りの感情をもっているにもかかわらず、子どもから大人たちに語りかけるように、静かに核廃絶を訴える普遍性をもった作品」とされました。

同じく審査員特別賞に選ばれた「誰も知らない『玉音放送』~“日本の~いちばん長い日”の真実」については「日本が亡国となるか、生き残れるかというきわどい敗戦間際に、軍部、政府とは別に民間人の立場で戦争を終わらせようと必死の努力をした人々を、映像歴史学の立場から取り上げ、日本敗戦の悲劇を風化させまいとの意図でつくられた意欲的な番組」とされました。

■ 荒井なみ子賞は該当作がなく、本年は見送りとなりました。   
 

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